ec3317801

"夜"や"都会"という言葉から連想するアーティストといえばこの人、椎名純平の3rdアルバム『cruisin'』について。椎名純平といえばあの椎名林檎の実兄で、最近では林檎のシングル『この世の限り』に参加してましたよね。そんな彼の所属レーベルをソニーからRandC Ltd.へ移しての本作は、これまでの作品同様R&Bというジャンルにとらわれることのない大人な1枚に仕上がっています。

全体的な構成として前半はリズミカルな楽曲が並び、中盤あたりからは椎名純平ならではのアダルトな世界が堪能できるゆったりとしたナンバーが収められています。しゃがれた歌声とドラム、ギター、ベースなどの演奏がひとつになりセクシーなグルーヴを生み出す『ZERO-ONE』、SOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビ(トランペット)と元晴(サックス)が参加したJAZZグルーヴ全開のアップテンポ・ナンバー『Hotel CASABLANCA』(コーラスでFukkoも参加)、70年代的なサウンド・コンストラクションに思わずニンマリ顔になってしまう晴れやかな1曲『ビューティフル』と、序盤の3曲だけでもいろんな椎名純平が味わうことができます。

ここからは完全に夜モード突入で、ピアノやストリングスのしっとり壮美な演奏をバックに情感たっぷりに歌い上げる移籍第1弾シングルのバラード『残像』、続くこちらもピアノとストリングスの美しくもスケールの大きい演奏に彼の切なさを帯びた歌声が乗る泣きのバラード『最後の接吻』、夜ならではのつーんとした空気に似た心地よさを感じ取ることができるムーディーなミッド・ナンバー『鍵』、温かく包み込んでくれるような包容力のあるヴォーカルにアコースティック・ギターの穏やかな音色がそっと寄り添う『おやすみ』、キーボードやシンセ、パーカッションが効いた『footsteps』、コーラスで大貫妙子が参加したただただ聴き入るばかりの『ヒカリの海』、都会の夜のネオンを髣髴とさせるような大人の煌びやかチューン『デイドリーム』、静粛なトラックが琴線に触れるメロディーをより浮き上がらせる『君に』、そしてラストはしめやかに閉じるのではなく明るく幕を引く『微熱』と、椎名純平ならではの楽曲がずらっと並んでいます。

最初聴いたときはちょっと微妙かなと思ったりもしたけど、2回、3回と聴いてるうちにだんだんとハマっていく自分がいました。今回も申し分のない内容でしたね。機会があればぜひチェックしてみて下さい。

Thank you for your support!
 にほんブログ村 音楽ブログへ