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日本の音楽シーンを魅了し続けている、女性シンガー安室奈美恵の5thアルバム『break the rules』について。デビューして15年以上経った今もなお第一線で活躍している安室が2000年にリリースした本作は、前作『GENIUS 2000』に続き小室哲哉とDallas Austinが共同でバックアップした意欲的な1枚になっています。

多くの人が知っているであろうヒット済シングル曲では、安室の「Janet Jacksonのような曲が歌いたい」というリクエストから出来たという癒し系ダンス・チューン『no more tears』(アルバムの最後には『NO MORE TEARS REMIX』も収録)、こちらも安室の「ROCKな曲が歌いたい」というリクエストから制作されたロッキッシュ・アッパー『PLEASE SMILE AGAIN』、そして沖縄サミットのイメージ・ソングに抜擢された『NEVER END』などを収録。言わずもがなこれらのプロデュースは小室哲哉によるもので、それぞれ異なる味わいを持ちつつも仕上がりはキャッチーで、ヒットメーカーならではの手腕に拍手喝采したくなるような出来ばえになっています。

小室は、楽曲から切なさがにじみ出た『HimAWArl』のような日本人好みのメロディアス・ナンバーも提供していますが、デジタル・サウンドにラップ調の早口歌唱が乗る『break the rules』、Dallas曲との調和を意識してか全編英語詞による楽曲を提供した『LOOKING FOR YOU』、後半にPOPA L.Q.なる人物のラップを組み込んだ『CROSS OVER』など、基本はR&B(またはDallas)を意識したようなナンバーを提供。

そしてTLCやJanet Jackson、Monicaなど、海外の大物勢も手掛けるUSの人気プロデューサーDallas Austinは、ギターの効いたゆったり系ミッド『better days』、多くのヒット曲を手掛けてきたDallasならではの本場直産R&Bチューン『never shoulda』、浮遊感あふれる弦のような音がちりばめられた『GIRLFRIEND』、『no more tears』と両A面扱いだった情感たっぷりの美バラード『think of me』と、安室の魅力をいろんな方向から引き出すべく多種多様なナンバーを用意。ちなみにDallas曲のほとんどには、あのDebra Killings姐さんも参加しています。

本作を最後に小室の元から離れることになるわけですが、シングル曲についてはなかなかの出来になってると思うんだけど、彼がDallasに歩み寄ろうとしたような曲はどこか無理があるというか、こうしてDallas曲とならべて聴くと微妙に痛々しいんですよね。本作の内容から察するに小室からの卒業を選んだ安室の決断は間違ってなかったのではないかと。

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