R&B/SOUL -男性-
December 03, 2009
R. Kelly『Untitled』
90年代から現在にかけて、シンガーとしてだけでなくソングライターやプロデューサーとして常に第一線を走り続けている天才シンガー・ソングライターR. Kellyの9thアルバム『Untitled』についてレビュー。個人的にR. Kellyは大好きなアーティストのひとりで、デビュー・アルバム『12 Play』は今でもよく聴くお気に入りの1枚。そんな彼待望のNEWアルバムがやっとリリースされました。本作からの先行シングルは売れっ子の才色兼備シンガー・ソングライターKeri Hilsonを招いた『Number One』でしたね。KellyとKeriのケリケリ共演が実現ってだけでも興奮モノだけど、仕上がりも最高でエロい雰囲気が充満したナイス・ミディアムになっています。この曲に一聴惚れしてアルバム発売を心待ちにしてたんだけど…待った甲斐がありました。まず目に付いたのが上質なミッド〜スロウ群。ヨーデルのような歌い方がいいアクセントになってる『Echo』、2ndシングル予定曲で制作にWarryn CampbellやTyreseも名を連ねた汚れなき極上バラード『Religious』、ファルセットを駆使しながら歌い上げる『Elsewhere』、そしてTyrese、Robin Thicke、The-Dreamという豪華メンツを招集した『Pregnant』と、R. Kellyの旨味がぎっしり詰まった上質曲がズラリ。この中で一番注目が集まりそうなのはやはり『Pregnant』かな。R節と彼のフォロワー的存在のDream節が同時に味わえるというなんとも贅沢な1曲…。間違いなく必聴でしょう。上質なミッド〜スロウはまだあって、5曲目『Go Low』と6曲目『Whole Lotta Kisses』も聴き逃し厳禁。この2曲は90年代R&Bの旨味が味わえる仕様になっていて、その時代の楽曲が好きな人は昇天を余儀なくされると思います。特にアダルト・ジャジーな『Whole Lotta Kisses』は殺傷能力が強くてヤバいですよ。白目ひん剥いて何度もイキそうになっちゃいます(笑)ちなみに2曲ともR. Kelly自身が単独で手掛けています。他もJazze Phaが関与した『Exit』や、『Bangin' The Headboard』、『Text Me』あたりも、ド派手な展開はないけど安定感抜群で地味にクセになってくる好曲になっています。で一方のアップはどうなのか。こっちは賛否両論ありそうな感じではあるけれど、懐かしくもノリノリなディスコ・チューン『Be My #2』、売れっ子LOS Da Mystroプロデュースの怪しいサイバー系『Like I Do』、Soulshock & KarlinがJustin Timberlake"Sexyback"のような曲を提供した『I Love The Dj』、お次はLil Mama"Lip Gloss"っぽいビートが炸裂する『Supaman High』(Oj Da Juiceman客演)、そして最初聴いた時は「糞曲?」と思ったけどメロディアスなサビで救われた『Crazy Night』と、近未来系を中心にチャレンジ精神溢れる楽曲で攻めてます。
ということでアップに関してはR. Kellyらしくないと思う人もいるかもしれないけど、俺は『Be My #2』とか好きだしこういうのもアリだなと思えました。ミッド〜バラードは極上曲のオンパレード状態だし、こりゃたまりませんな。2009年は本作を聴きながら締め括りましょう。
November 15, 2009
Terrell『The Story』
シンガーとして以外に俳優としても活躍している多彩な男性R&BアーティストTerrellの1stアルバム『The Story』についてレビュー。彼は「俺のお気に入りシンガー・ベスト10」に入るくらい大好きなシンガーの1人。何がいいって、それはやっぱあのエモーショナル極まりないヴォーカルですよ。声を張り上げた時のむせび泣くような声に感じ…たまらなくツボです。さて、そんな彼が2003年にリリースした本作は全10曲収録で、エグゼクティヴ・プロデューサーも彼自身Terrell Carterが手掛けています。オープニング・ナンバー『Beautiful Girl』からいきなり素晴らしく、アコースティック・ギターの哀愁漂う演奏をバックにしっとり歌い聞かせてくれます。この曲も申し分ない出来だけど、個人的には次の『Everything』が大のお気に入りなんですよ。トーキング・モジュレーターを使用しヴォーカルの表情を豊かにしてる上に、後半にはアツいフェイクが待ち構えてるときた。極上すぎてぶっ倒れそうになるけど、3曲目『Love』がまだそうはさせてくれません。この曲はJAZZ界のトップ・プロデューサーRex Rideoutが手掛けていて、幾重にもなったコーラスと後半の吼えで聴く者を完全にノックアウト。はい、降参です。この『Everything』と『Love』の流れは最高すぎてヤバいですね。何度聴いても心に染みます。中盤もいろんなタイプの曲が用意されていて、軽くラテン系の香りのする異国情緒漂うダンス・ナンバー『Last Dance』、毎度のごとく後半のフェイクで昇天してしまうタイトル・チューン『The Story』、早口歌唱を駆使しながら歌い進む哀愁系ミッド『Hard For Me』と、聴く者を飽きさせることなく楽しませてくれます。終盤は極上のミッド〜バラードが待ち構えていて、トーキング・モジュレーターを使った幻想的&ドリーミーな『The One I Love』、Beyonce『Baby Boy』のような中東系のテイストを注入した『Drama』、Mike Cityがやりそうな安定感抜群のミッド『Too Close』、そしてエンディングに相応しいロマンティック・ナンバー『Come Inside』と、インディに置いておくには勿体無い傑作に仕上がっています。
骨太なんだけど、どこか繊細で…そしてハイ・テナーとバリトンの味わいも兼ね備えたエモーショナルなテナー・ヴォイス。このヴォーカルの魅力にとり憑かれると離れることは不可能ですね。久しぶりに聴いたけど相変わらず最高な1枚でした。拍手喝采。
November 12, 2009
Mario『D.N.A.』
キッズ・シンガーとしてデビューした彼も今やもう立派な大人の男。前作『Go』から約2年ぶりとなる男性R&BシンガーMarioの4thアルバム『D.N.A.』についてレビュー。前作は何度も発売が延期されたイメージが強いけど、今回は意外にサクッとリリースできた感じですよね。しかももう4枚目のアルバムですよ?結果が残せず脱落していく者が多いなか大健闘してますな。いきなりマイナスの事を書くのもどうかと思うけど、実は本作…最初はあまり購買意欲が沸きませんでした。なんでかというとSean "The Pen" GarrettとThe Bangladeshプロデュースの先行シングル『Break Up』が微妙だったから。Gucci Maneをフィーチャーとメンツ的にも問題のない1曲ではあるけど、ああいうHIP HOP寄りのどんよりした曲は好みじゃないんですよね。The Runnersが手掛けた2ndシングル『Thinkin' About You』もシンセ鳴りまくりの壮美曲で、悪くはないけど軽く微妙で再び撃沈。でもMarioは好きなアーティストの1人なのでとりあえず購入を決意しました。このシングル2曲に続く3曲目は、重厚なビートが炸裂するJim JonsinとRico Love共同プロデュース曲『Get Out』と、前半はHIP HOP寄りのアプローチで果敢に攻めています。4曲目以降はメロディアスなミッドや今ドキな曲がならんでいて、Los Da MystroとRico Loveによる美メロ曲『Soundtrack To My Broken Heart』、旬なC. "Tricky" Stewart & Terius "The-Dream" Nashが宇宙遊泳してるような気分を味あわせてくれる近未来系ディスコ・チューン『Starlight』、Sean "The Pen" GarrettとEric Hudson作の夢心地なミッド・スロウ『Stranded』、The-Dreamはノータッチだけどタイトルを連呼するThe-Dream技が飛び出す『Ooh Baby』と、中盤はギャルが身もだえすること必至のゾーンになっています。個人的白眉曲は『Starlight』かな。これは思わぬ収穫というか、「本作を買ったよかった」と思える1曲でしたね。以降も、Andre Harris & Vidal DavisプロデュースBig Sean客演の『Before She Said』、StargateプロデュースしBabyfaceソングライトのクロスオーバー系美ミディアム『I Choose You』、再びC. "Tricky" Stewart & Terius "The-Dream" Nashが登板した、Marioの歌声とエレキギターの音色が哀愁を醸し出す『Don't Walk Away』、冬の朝に感じるひんやりとした空気のような魅力をもったメロディアス曲『I Miss My Friend』(Babyface関与)、ラストに配された聴かせるバラード『The Hardest Moment』と、今ドキの曲から普遍的な曲まで、そしてアップからバラードまで余すことなく収録した充実作に仕上がっています。
これさぁ…絶対にシングル・カットする曲間違えてるでしょ。中盤から後半にかけて結構粒揃いなのに、なぜ『Break Up』をシングルにした。2ndシングルも『Thinkin' About You』じゃなくて、The-Dream関与曲か『I Miss My Friend』あたりにすればよかったのに。とまあ最初の印象はいまいちだったけど、いざ蓋を開けてみるとなかなかいい感じの内容でした。
November 06, 2009
Ryan Leslie『Transition』
BAD BOY所属の小悪魔シンガーCassieのブレイクを請け負ったことでも知られる、ハーバード卒のプロデューサー/アレンジャー/ソングライター/シンガーのRyan Leslieの2ndアルバム『Transition』についてレビュー。デビュー・アルバムにあたる前作『Ryan Leslie』は今年の2月発売でしたよね?てことは1年で2枚のアルバムをリリースしたことになるのか。かなりのハイペースですね。前作は非常によく出来たアルバムではあったけど、個人的に「これだ!」といったキラー・チューンがなかった印象があるんだけど今回は違います。本作からのリード・シングル『You're Not My Girl』を聴いた瞬間、一目惚れならぬ一聴惚れ状態でした。KING OF POPことMichael Jacksonを髣髴とさせるような80's風味のダンサブルな楽曲で、夜を連想させるような煌びやかなシンセ・サウンドとグルーヴィなビートが最高に心地よいファンク・チューンに仕上がっていました。これぞまさにキラー・チューン。心に快楽という名の矢がおもいっきり突き刺さりました。Ryanといえばどこか懐かしい香りのするエレクトロ曲が得意なイメージがあると思うんだけど、本作もモロそんな感じですね。特に前半から中盤にかけて顕著に表れていて、浮遊感溢れるトラックに彼の下手ウマなファルセットが映える『Never Gonna Break Up』、ClipseのPusha Tをフィーチャーした『Something That I Like』、真夏のビーチを連想させるようなキラキラ感と爽快感のあるナンバー『Zodiac』、こちらも軽やかなソフト・エレクトロ・チューン『Is It Real Love』、水中を泳いでるような気分になる『Sunday Night』と、今のシーンに対応できる楽曲がズラリと整列。後半にはAnthony Hamiltonあたりが歌いそうなブルージーなミディアム『To The Top』や、エンディングをかざる美曲『I Choose You』などあって、アルバムに幅を持たすことに一役買っています。統一感を失わない範囲内で遊んでいて思わずニヤリとしてしまいました。他も怪しくピコポコした『Nothing』、どこかBryan Michael Cox的というかピアノの音色が印象的な『Guardian Angel』、そしてシンセ炸裂の『All My Love』と、彼の持ち味が腹いっぱい味わえる秀作になっています。
前述したとおり「どこか懐かしい香りのするエレクトロ曲」満載でいいですね。Ryanの魅力がギッシリ詰まってます。特に『You're Not My Girl』。やっぱこの曲大好きだわ。
October 27, 2009
Gerald Levert『Stroke Of Genius』
ウォーミーでド渋いバリトン・ボイスをもつ男性R&Bシンガー・ソングライターGerald Levertの7thアルバム『Stroke Of Genius』についてレビュー。ソロ・シンガーとして以外にも、3人組ヴォーカル・グループLevertやドリーム・ユニットLSG、そしてプロデューサーとしても数々のヒット曲を手掛けるなど、余りある才能をフルに活かした活動を展開。がしかし2006年に40歳という若さで他界…。本作は彼と相棒であるEdwin"Tony"Nicholasの2人がほぼ全編にわたり共作・共同プロデュースしています。どれもベテラン・テディベアの色気漂う楽曲ばかりなんだけど、個人的にNo.1なのは名曲カバーに挑んだ『(They Long To Be) Close To You』。この曲はみなさんご存知Carpentersの曲で、歌姫Tamiaとのデュエットというかたちでカバーしています。しっとりとした中にも濃厚な歌心を感じとることが出来る仕上がりで、むせ返るような男汁垂れまくりのGeraldの歌声と天使のようなTamiaの歌声がこの上ない相性で合体…。美女と野獣コラボに陶酔率は100%でございます。他の曲を見ていくと、前半から上質なミッド〜スロウで聴く者を酔わせにかかります。たたみ掛けるようなフックが印象的な『Knock Knock Knock』はTim & Bob曲のような郷愁漂うミディアムで、『Long Hot Summer』は大人の色気と余裕が漂うムーディーなミッド・ナンバー。『Awesome』は彼の濃厚な歌声がねっとり絡みつくスロウジャムで、『Stroke Of Genius』はジャジーなアレンジが施された成熟された大人ならではの1曲。この前半ゾーンですでに泥酔状態に陥ることになるんだけど、中盤もウーロン茶を飲むことは許してくれません。Mike Cityあたりがやりそうなビートの際立ったメロディアスなミディアム・アップ『I Got A Girl』、女性コーラスとやさしく包み込むように交わる『U Got That Love (Call It A Night)』、小鳥のさえずりで幕が開く純美なバラード『Good Morning』、途中歌い方がレゲエっぽくなったりする遊びの効いた愉快曲『Keep It Warm』など、中盤に突入しても手を緩める気配はなし。後半も思わず体が反応してしまいそうになるアルコール度高めのステッパーズ・チューン『Didn't We』ではじまり、Geraldならではの雄臭濃いめの甘渋い世界が展開される『To My Grave』&『Let It Be』、Eddie Levert & Sean Levertと濃密"熊"ファミリーで歌い上げる極上バラード『Eyes And Ears』、アコースティックな美メロ曲『Rest Of Your Life』、スパニッシュの要素を取り入れた情熱的なアップ『You Got That Love Again』、そしていい味が出てる懐古的ナンバー『Won't Get Up』と、従来どおり今回も安心して聴ける1枚になっています。
全20曲と非常にボリューミーなのでラストまでサクッと聴けるかというと微妙なんだけど、好曲多数なのでまあ良しとしましょうか。それにしてもこのウォーミーな歌声の包容力は反則ですね。自然と安心して身を委ねてしまう…。大人の魅力を堪能したい人はぜひチェックしてみて下さい。
October 08, 2009
Anthony Hamilton『Soulife』
味のあるエモーショナルな歌声をもつ才能あふれる男性アーティストAnthony Hamiltonの未発表曲を収録したアルバム『Soulife』についてレビュー。『Comin' From Where I'm From』、『Ain't Nobody Worryin'』など素晴らしい作品を発表してるAnthonyですが、皆さんご存知のとおり彼はかなりの苦労人で、本作は1999年から2001年の間にレコーディングされるも日の目を見ることのなかった音源を集めた1枚になります。一聴した段階で昇天というか、最高すぎて悶絶してしまったのが9曲目『Last Night』。この曲はSunshine AndersonとDolo Pichinoの2人をフィーチャーした曲で、Sunshine Andersonのアルバムに収録済みだったりもすんだけど、何度聴いてもいいです。極上のしっとり感に耐え切れず失禁&脱糞を余儀なくされてしまいます。ちなみにプロデュースは安定感抜群のMike Cityが担当しています。客演を招いた曲つながりでいくと、甘しゃがれた歌声をもつ女性シンガーMacy Grayをフィーチャーした『Love And War』なんて曲もあったり。Anthony、Macy…どちらも味のある歌声を持ってますよね。この両者が絡まって悪い曲ができるはずがない。歌が最高なのは言うまでもないと思うけど、曲もフックに突入するやいなやロマンティックな世界が広がる展開がニクい。あと『Day Dreamin'』も極上ソウル曲って感じでいいですね。メロディアスで耳なじみのいいフックと、時折みせる甘渋いファルセットが心の琴線に触れ、聴く者を別世界へといざなってくれます。これら以外でも、深みのある歌声や包容力のあるコーラスに心奪われる古典的な味わいをもつバラード『I Cry』も素晴らしいし、テンポよく刻まれるリズムに自然と身を委ねてしまうミディアム・アップ『Love Is So Complicated』や、サザン・ソウルの心を持つ彼ならではのファンキーなグルーヴ&リズムが心地いい『Ol'Keeper』あたりも秀逸。ソウルフルな歌と生楽器がこの上ない塩梅で絡む『I Used To Love Someone』、『Clearly』、『Georgie Pakker』、『Ball And Chain』なども「これだよこれ」って感じで繰り返し聴きたくなるし、甘しゃがれたファルセットを多用した幻想的なんだけどどこかザラついた『Icing On The Cake』、妖しいファルセットで歌い上げる『Exclusively』も…。って、結局いい曲たっぷりのアルバムってことですね(笑)「発売してくれてありがとう」と感謝したくなるような美味アルバムに仕上がっています。
こんな素晴らしい楽曲の数々が長い間日の目を見なかったなんて信じられませんね。落ち着いた曲がほとんどですが、どれも珠玉の曲ばかりなので未聴の人はぜひ。
September 19, 2009
Marques Houston『Mr. Houston』
キッズ・グループImmature出身の男性R&BシンガーMarques Houstonの4thアルバム『Mr. Houston』についてレビュー。ソロになって早くも4枚目のアルバムとなりましたか。昔は(Batmanと名乗ってた頃)垢抜けないガキって感じだったのに、いまやセクシーな大人の男に。しかもアルバム・タイトルが自らの名を冠した『Mr. Houston』ときた。これは期待できそうですね。オープニングは流行のオートチューンを使った『I Love Her』。Jim Jonesのラップをフィーチャーしたセクシー・ミッドなんだけど、仕上がりは軽やか&キャッチー。幕開けからいい滑り出しですな。続く2曲目『Body』はネッチョリとしたスロウで、色っぽいファルセットを多用。PVもいい感じでしたよね。楽曲のプロデュースはRay J『Sexy Can I』をヒットさせたNoel "Detail" Fisher。本作はこのDetailが大抜擢されてるんですよ。『I Love Her』に続きオートチューンを使った『How I Do』、シンセが飛び交うエレクトロな80s風味ダンス・チューン『Express Lane』、超絶ファルセットで聴く者をノックアウトしにかかる悩殺スロウ『Stranger』、アコギをバックに歌う『Sunset』、軽くフューチャリスティックな哀愁曲『Resturaunt』、そしてシンセが鳴りまくる『Excited』と、約半数のプロデュースを担当。ここまで多くの曲で起用するとは正直予想外でしたね。でもこの起用は凶ではなく吉と出てるので安心を。才能あふれるMarquesってことで自身がセルフ・プロデュースした曲も3つほどあって、包容力たっぷりのファルセットで歌い通す『Letter』、ギターやフルートなど生楽器の演奏を従えた『Sexy Young Girl』、甘いファルセットと美しくも切ないピアノ&ギターがこの上ないバランスで絡み合う極上メロウ『Beautiful Woman』と、こちらもなかなかの好曲づくし。いきなりだけどMarquesの弟分といえば?そう、Omarionですよね。そのOmarionがNaruto's Melody's名義でプロデュースした曲『Date』なんてのも収録されちゃってるんですよね。ちなみにネーミングの由来はOmarionが日本の漫画「NARUTO -ナルト-」が好きでそこから名づけられたそうです。その他も、Alex Cantrallプロデュースのスロウ『Case Of You』、こちらも甘くセクシーに迫るメロディアス・スロウ『Say My Name』、軽快な近未来系ダンス・チューン『Tonight』と、成熟したMarquesが堪能できる傑作に仕上がっています。
ファルセットを多用しまくってるのがちょっと気になるけど、各曲の出来は文句なく素晴らしいですね。俺が購入したのは国内盤で4曲がボーナストラック扱いになってるんだけど、このボートラは輸入盤にも収録されてるんだろうか。ボートラ4曲もいい出来なので絶対に聴いて下さいね。
September 08, 2009
Trey Songz『Ready』
少年のような顔と鍛え抜かれた体のギャップに少々違和感を感じてしまう?男性R&BシンガーTrey Songzの3rdアルバム『Ready』についてレビュー。Trey Songz…特に好きでも嫌いでもないけど、最近彼に風が吹いてると思うのは気のせいか。デビュー時からそこそこ売れてるけど、もっと売れそうな匂いがするというか…。なんとなくそんな気がするんですよね。どうでもいい予感の話はこれくらいにしてアルバムに話題を戻します。リード・シングルはStargateプロデュースJohnta Austinソングライトの『I Need A Girl』でしたね。セクシーな歌声と甘いメロディ、哀愁を醸し出すシンセ音ループが絶妙に絡み合う極上メロウ・ミッドに仕上がってて中毒性十分。この曲は初めて聴いた時から好きでした。シングルといえばDrake & Trey Songz名義の『Successful』も忘れてはいけません。夜っぽい静かめの曲になってるんだけど、なんともいえない不思議な病み付き感があるんですよね。じわじわハマります。前作のレビューで「R. Kellyを髣髴とさせる時がある」と書いたんだけど、今回もRマナーを意識したような曲『Neighbors Know My Name』が。曲の出来は悪くないけど、聴いた瞬間「こ、これモロR. Kellyやん…」と思ってしまい思わず苦笑い。ちなみに手掛けたのはおなじみTroy Taylor。あとDrake客演の『I Invented Sex』も聴いた瞬間「Terius "The-Dream" Nash & C. "Tricky" StewartかLos Da Mystroプロデュースだな」と思ったらLos Da Mystroプロデュースだった上、歌い方もモロThe-Dreamでまたまた苦笑い。まあどちらも憎めないんですけどね。ここまでの流れでもわかると思うけど、本作は豪華なメンツが参加していて、Bryan-Michael CoxプロデュースJohnta Austinソングライトの哀愁系ミッド『One Love』、琴線に触れる歌声、メロディ、トラックにハンドクラップが絡むSean "The Pen" Garrettプロデュース曲『Does He Do It』、Gucci ManeとSoulja Boy Tell 'Emをフィーチャーした『LOL :-)』なんてのもあったり。Trey曲には欠かせない人物Troy Taylorも大活躍していて、Fabolous客演でピコポコしたトラックが印象的なHIP HOP寄りナンバー『Say Aah』、フィンガー・スナップを織り交ぜながらしっとり歌う『Jupiter Love』、曲から哀愁というか郷愁のようなもの漂っている染みるミッド・ナンバー『Love Lost』、絞り出すように熱唱するその様に魅了させる『Holla If Ya Need Me』、壮大なスケールで聞かせるクロスオーバー・チューン『Yo Side Of The Bed』と、どの曲も質の高いものばかり。やっぱこの2人の相性は目を見張るものがありますね。ハズレがない。その他の2曲も、近未来風味の軽やかな1曲『Be Where You Are』、こちらもほんのりロッキッシュなんだけど近未来系な『Black Roses』と、流行を押さえたぬかりのない仕上がりになっています。
前作で共演したR. Kellyを連想させるような歌い方や、トレンドのThe-Dreamの顔が過ぎる瞬間が多々あるけれど、そういうの抜きで聴くと曲のクオリティは高いし言うことなし。本当によく出来た1枚になってるんでR&Bファンはチェックすることをオススメします。
August 29, 2009
Ruben Studdard『I Need An Angel』
人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」の第2回チャンピオンに輝いた、ベルベット・テディベアこと男性R&BシンガーRuben Studdardのゴスペル・アルバム『I Need An Angel』についてレビュー。これは2ndアルバムとカウントしていいのかな?デビュー・アルバム『Soulful』はThe Underdogsらが手掛けた歌えることをしっかりとアピールしたバラードもあれば、Swizz BeatzやIrv Gottiが腕をふるった現行シーンにアピールした楽曲もありました。しかし今作は3歳から教会の聖歌隊で歌っていたというRuben Studdardならではのゴスペル・アルバムになっています。オリジナル曲の中にほどよくカバー曲が挟まれており、バラエティに富んだ内容に仕上がってますよ。このアルバム一番の注目は、アルバムの幕開け曲『I Need An Angel』。あのR. Kellyがプロデュースを担当してる上に、ボーカル・プロデュースをThe Underdogsが担当。R. Kellyのヒット曲"I Believe I Can Fly"に通じるような素晴らしいミッドになっていて、聴いててすごく気持ちのいい1曲になっています。あとこういうゴスペル作品には欠かすことの出来ないプロデューサーWarryn Campbellもいい仕事をしており、ピアノの演奏をバックに堂々と歌い上げる『Center Of My Joy』、ほっこりとした気持ちになれる心地いいアップ『Goin' Up Yonder』、ちょっとカントリー調な『Fix It, Jesus』(Harvey Watkins,Jr.参加)、丁寧に歌うRuben Studdardの歌声に聞き惚れてしまう文句なしの美しいバラード『Running Back To You』、おもわず踊りたくなるようなノリのいい好アップ『Restoration』、Mary MaryのTina Campbellとデュエットしたカバー曲『Ain't No Need To Worry』など、R&Bとゴスペルの要素をうまく混ぜ合わせた楽曲を提供しています。R. KellyとWarryn Campbellが提供した曲に関しては安定感抜群で安心して聴くことができますね。他も『Amazing Grace』のカバーやEric Dawkinsプロデュースの美曲『Shout To The Lord』、1stアルバムにも収録されていた『We Have Not Forgotten』、ただただ聴き入ってしまうばかりの『I Surrender All』、本人手掛ける晴れやかな気分になる『Don't You Give Up』など、歌える彼ならではの美しくも力強い内容になっています。
幼い頃から教会で歌ってただけあって堂に入ってますね。「ゴスペル」って響きだけで毛嫌いしてしまう方もいるかもしれませんが、普段聴いているR&Bとほとんど変わらないので、機会があればぜひ聴いてみて下さい。
August 07, 2009
Maxwell『BLACKsummers' night』
一世を風靡した「ニュークラシック・ソウル」の立役者の1人でもある、実力派R&B/SOULシンガーMaxwellの4thアルバム『BLACKsummers' night』についてレビュー。前作『Now』から約8年ぶりですか。長いようであっという間だったような。8年もブランクが空くとシーンも様変わりしていて彼の居場所を不安視してたんだけど、結果は初週で316,499枚のセールスを記録してビルボード・トップ200で初登場1位を獲得。おまけにこのセールスは彼自身の過去最高記録更新もやってのけたんだと。お見事でございます。『BLACKsummers' night』と名づけられた本作は、今後1年おきにリリースされる『blackSUMMERS' night』(これからの自分を表現したもの)、『blacksummers' NIGHT』(インスト中心)の3部作のトップバッター作品で、本人曰く「ダークでソウルフルな作品」なんだそう。そんな本作は長年の協力者でもあり友人のHod Davidとともに制作。プロデュースも2人共同で担当しています。個人的にMaxwellといえば1stアルバムと3rdアルバムは好きだったんだけど、いまいちハマれなかった2ndアルバムの例があるので、若干構えながら再生ボタンをポチ。オープニング・ナンバー『Bad Habits』の幕開け早々繰り出される魅惑のファルセットに自然と引き込まれていく俺。そしてこの時点で確信しました。「今回も傑作だ」と。続く『Cold』は本作からの2ndシングルで、ジャジー&グルーヴィなアップ。生楽器演奏ならではの臨場感がたまらなくいいですね。3曲目『Pretty Wings』は本作からの1stシングル。この曲が解禁された時速攻でチェックしたんだけど、最初の印象はあまりよくなく「アルバム大丈夫なのかな…」と不安が過ぎりました。でもアルバムの中に収まるとあら不思議。いいじゃないですか。中盤から後半にかけても恍惚として聴き入ってしまう曲ばかりで、ヴォーカル、トラックともにドラマティックな展開で盛り上がっていく『Help Somebody』、まったり温もりのあるトラックに彼の魅惑のファルセットが映える『Stop The World』、荒野やテンガロンハットを連想させるようなリズミカルで躍動感あふれるアップ『Love You』、どっしり壮美なトラックをバックに熱唱する『Fistful Of Tears』、歌声とアコースティック・ギターというシンプルな構成で魅せるバラード『Playing Possum』、そしてラストは「これは次回作の予告?」と思わせるようなジャジー&グルーヴィ&ディスコちっくなインスト『Phoenix Rise』と、我々の期待を裏切らない渾身の1枚に仕上がっています。
相変わらず「気取ってるんだけど気取りすぎてない」この絶妙な塩梅がいいですね。「難解なようで実は結構聴きやすい」ともいえるかも。曲数を全9曲とコンパクトにまとめたこともダレることなく最後まで聴けるのでよかったです。これは待った甲斐アリアリですね。必聴。





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