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1999年にJIVEが送り出したワシントンD.C.出身の男性R&BシンガーMarc Dorseyの1stアルバム『Crave』について。解説によると彼はJIVEと契約する前は映画監督Spike Leeのレーベルに所属していたそうです。そこでは3枚のサントラに参加するなど地道に活動していたのですが、予算の都合でアルバム・デビューには漕ぎ着けなかったんだそう…。そんな苦労人の彼がレーベルを移籍しリリースすることができた念願のアルバムは、彼の武器である抜けのいいヴォーカルが心行くまで堪能できる充実作に仕上がっています。

本作はTimmy AllenとLarry "Rock" Campbellがほとんどの楽曲を手掛けていて、そのどれもがなかなか上質で侮れないものばかり。

アルバムの雰囲気を損なわない程度に軽くチキったアップ『If You Really Wanna Know』(アルバムのラストにはJane Blazeをフィーチャーした『If You Really Wanna Know(Rocks Remix)』も収録)、恋人のいる男女が浮気してしまうという設定のセクシーなミッド・ナンバー『Break It Down』、すると今度は美しいアコギを主としたトラックに乗せ"あいつは浮気してるぞ"と忠告する『Tell Your Man(He's Gotta Go)』、彼のジェントルマンなヴォーカルにギターとストリングスがやさしく寄り添う美バラード『Crave』、地を這うようなベースが◎なブルージーでダウン・サウス風な1曲『Can You Ever Love Somebody』、いきなり雄度高めなフックから入るところがインパクトがあっていいド渋いナンバー『All The Way』、実力派シンガーShirley Murdockのリメイクに挑んだ『As We Lay』、お次はStevie Wonderの名曲をGinuwine"Pony"系のTimbaland以降のチキチキ・サウンドでカバーした意欲作『All I Do』、彼のアツいメッセージがひしひしと伝わってくる『In The Ghetto』、彼の自由自在に泳ぐヴォーカルが味わえる清美なバラード『Love You Again』、Tony Nicholasプロデュースのただただ聴き入るばかりの流麗なバラード『What Everybody Knows』、当時の彼女Jacci Mcgheeとデュエットした『When All Is Said And Done』と、凛とした態度で歌い上げた珠玉の1枚になっています。

このアルバムをリリースした後、The NeptunesのレーベルStar Trackに籍を置いていたこともあったんですが現在は…。アルバム1枚で終わらせるには惜しいソウル・シンガーだと思うので復活を切に願っています。

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