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他を寄せ付けない類稀なるダンス・センスと年齢を重ねるごとに増す艶やかなヴォーカルで、常に日本の音楽シーンをリードし続けている女性アーティスト、安室奈美恵待望の8thアルバム『PLAY』(DVD付き)について独り言。長年の相棒小室哲哉の元を離れ挑んだ意欲作『STYLE』、南部サウンドを取り入れるなどR&B/HIP HOP色が濃厚に出た傑作『Queen of Hip Pop』と、作品を出すたび着実にスキル・アップした姿を見せてくれていた安室奈美恵。そんな彼女が自信を持って送り出す本作は、我々の期待をはるかに上回る会心の衝撃作に仕上がっています。

注目のプロダクションですが、アルバムのトータル・プロデュースは安室本人が担当。楽曲の方は前アルバム『Queen of Hip Pop』で安室をネクスト・レベルへと押し上げた立役者2組T.KURA & MICHICOとNAO'YMTが今回も続投し手腕を発揮しています。

まずはGIANT SWINGことT.KURAとMICHICOが手掛けたナンバーから紹介。彼らは『CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK』、『IT'S ALL ABOUT YOU』、『FUNKY TOWN』、『STEP WITH IT』、『HELLO』、『SHOULD I LOVE HIM?』の6曲を提供。

軽快なホーンが小気味よく炸裂する『CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK』と、タイトルどおりのファンキー・チューン『FUNKY TOWN』の2曲は、シングルとしてもおなじみなので説明不要ですよね。安室の「ROCKな曲が欲しい」というリクエストに応え制作された『IT'S ALL ABOUT YOU』は、注文どおりのロッキッシュ・チューンになってるんだけど、そこは業師T.KURA & MICHICO。単純なROCK曲ではない、遊びの効いた難易度高めの楽曲になっています。

『STEP WITH IT』、『HELLO』、『SHOULD I LOVE HIM?』は3曲続けて収録されていて、これが中盤の核を担う悶絶の3連発になってるんですよ。『STEP WITH IT』は安室のフェミニンなヴォーカルに男汁タラタラなL.L. BROTHERSのヴォーカルが絡む鬼グルーヴィ・チューンで、『HELLO』は全盛期のRodney Jerkinsを髣髴とさせるデジタル・ピコピコ・サウンドが炸裂する病み付きR&Bチューン。そして『SHOULD I LOVE HIM?』ですよ。これが凄いのなんのって。壮大なスケールで描かれた涙腺直撃のラブ・バラードになってるんですが、この完成度が恐ろしく高い。終盤のゴスペル調部分なんて支えるメンツがORITO、TIGER、L.L. BROTHERS、MICHICOですよ?なんですかこの錚々たるメンツは…。GIANT SWINGファミリー総出演じゃないですか。嫌が応にも昇天しちゃいますから。

一方のNAO'YMTも負けてはいません。NAOもT.KURA & MICHICOと同じく6曲をプロデュースしていて『HIDE & SEEK』、『FULL MOON』、『TOP SECRET』、『VIOLET SAUCE(SPICY)』、『BABY DON'T CRY』、『PINK KEY』を提供。

『HIDE & SEEK』は本作からのリード曲で、要所にマーチング・バンド・サウンドを配した斬新かつ攻撃的なナンバー。『FULL MOON』は摩訶不思議な世界に迷い込んだような感覚におそわれる浮遊感溢れるトラックが存在感をはなつ1曲で、非常に冒険心の強い楽曲になっています。『TOP SECRET』はウィスパー歌唱とたたみ掛けるようなフックが織り成すつんのめり系アッパーで『VIOLET SAUCE』の進化系といった感じ。そしてその『VIOLET SAUCE』のスパイシーREMIX『VIOLET SAUCE(SPICY)』は、ギター・サウンドを前面に押し出したバージョンに生まれ変わっていて、原曲よりもよりエッジーな曲に仕上がっています。

終盤はロング・ヒットを記録した名曲『BABY DON'T CRY』を挟み、本作のフィナーレを飾る『PINK KEY』へ。この曲がまたラストに相応しい素晴らしい出来なんですよ。キラキラ可愛くも美しいトラックにキャッチーなメロディーライン、そして確実に進化した安室のヴォーカルとそれに絡むゴスペル調のコーラス…。しかもHIROMI、JUN、NAO'YMT、RINGと、GIANT SWINGオールスター集結の『SHOULD I LOVE HIM?』に匹敵するような豪華メンツがヴォーカルで参加。最高にして最強のナンバーですね。

DVDの方は『HIDE & SEEK』、『CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK』、『FUNKY TOWN』、『HELLO』、『BABY DON'T CRY』のVIDEO CLIPと、安室と「The World of GOLDEN EGGS」がコラボレーションしたSPECIAL MOVIEが収録されています。このSPECIAL MOVIEはめっちゃ笑えますよ。あのテルミンと歌は一体…(笑)安邑(アムラ)最高。

長々と書きましたが、この完成度は半端じゃないですよ。安室のヴォーカル・スキルの向上は言わずもがな、T.KURA & MICHICO、NAO'YMTという音の匠たちが惜しげもなく本気の楽曲を投入。R&B/HIP HOPを軸としながらも絶妙にPOPフィーリングが注入されているので聴きやすさもバッチリ。捨て曲なんて一切なしのハイクオリティー極まりない大傑作に仕上がっています。最高すぎて震えがとまらない…。

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