ウェッサイを中心に数多くのアーティストの作品に客演してきたことで知られるNate Doggのアルバム『Nate Dogg』についてレビュー。彼の歌声はほんと唯一無二で、誰も取って代わることのできない魅力がありますよね。そんな彼は2008年に脳卒中で倒れ、現在も容態は芳しくないらしい。喋ることもできなければ手も足も動かせない状態ということは、悲しいけど今後音楽シーンに復帰するのは絶望的なんでしょうかね…。
本作は彼が2003年にリリースする予定だったアルバムなんだけど、なぜかお蔵入りになっちゃった1枚。参加してるメンツも豪華な上、内容も悪くないのになんでお蔵入りしちゃったんだろう。
まず注目は売れっ子Timbalandがプロデュースした『Gott Damn Shame』。TimbalandはプロデュースのみならずMs. Jadeと共に客演でも参加。怪しさは薄めだけどなかなかいい出来の曲になってますね。あと『There She Goes』と『Keep It Real』も極上でスルー厳禁。前者は相性抜群のWarren G参加&DJ Quikプロデュースということで、彼らにしか生み出すことのできない神々しいレイドバック感が漂っていて思わず陶酔…。後者はNateとLil' Moが交互にフックを担当するRockwilderプロデュースの秀逸な歌モノで、FabolousとIcarusも負けじといい味出してます。
客演を招かずNateのユル〜い歌だけをお腹いっぱい堪能することができる『Round And Round』と『All Night Long』も失禁&脱糞しそうなくらい最高だし、こんなに素晴らしい楽曲が収録されてるのにお蔵入りとはね…。ほんと厳しい世界だ。
これら以外も好曲ぞろいで、女性コーラスとの絡みが美味なScott Storchプロデュース曲『Hide It』、音数の少ない"あえてのスカスカ・トラック"が特徴のHi-Tek曲『I Need A Bitch』、『The Hard Way』、キャラの濃いラッパーRedmanを迎えてもその存在感は一歩も引けをとらない『Bad Girls』、Memphis Bleek、Freeway、Young Chrisをフィーチャーした『Leave Her Alone』、盟友Snoop Doggと共演した『I Got Game』、DJ QuikプロデュースEve客演のダークなんだけどキャッチーな『Get Up』、ラテン度高めの『Somebody Like Me』、そしてBinkが手掛けた2曲『Next Boyfriend』、『Right Back Where You Are』と、発売中止になったのが信じられないくらい上出来な1枚になってます。
最初でも書いたけど、この感じ(魅力)はNateにしか出せないですね。Nateが不在だからといって、彼のポジションを奪うのは誰も不可能。現実問題、復帰は難しいのかもしれないけど、元気になって戻ってきてほしいですね。
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